【映画】「花とアリス」

昔書いたレビューを掘り起こすシリーズ、第5回は「花とアリス」。

2004年の公開作品で、鈴木杏と蒼井優が主演、岩井俊二作品です。

春から夏にかけての今頃の空気によく合う映画ですので、今週末の鑑賞候補に。

「花とアリス」岩井俊二

「花とアリス」岩井俊二

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー2005年5月17日

元々は、Kit Katのプロモーションツールの1つとして

web上で上映されたショートムービーだった。

それが、ここまで映画史上に残る傑作になろうとは。

これを劇場で観ていなかった私は、ほんっとにバカでした。

それぐらいこの作品は、必見の1本です。

作品全体に通じる透明感はどこまでも突き抜けるよう。

照明や天然光をうまく使った、きらきらした映像が澄み渡る。

何でもない花や通り、家並みが命を持って近づいてくる。

ストーリーの軸としては、

鈴木杏演じる花と蒼井優演じるアリス、そして宮本先輩の

さわやかな三角関係のお話がある。

花は、ちょっと変わったマイペースで強引な女の子、

アリスは、人を惹き付ける魅力を持った天真爛漫な女の子、

先輩はクールで熱心だけどちょっととぼけている。

そんな3人の日常は、身近ではないのに、何だかとてもリアル。

もはや変態を通り越して天才になってしまった岩井俊二の

鋭く、気持ち悪いほどの観察眼が私たちを非日常の世界へ連れてく。

ところどころに登場する大人のキャストも、

必要はないが、とても華やかな大物ばかり。

大沢たかおやテリー伊藤、広末涼子が彩りを添える。

豪華キャスト陣の中でも群を抜いた演技を見せるのが蒼井優でした。

この人は最初はセリフも聞こえづらいぐらい普通の子でしたが、

劇中でのオーディションを経て、表情がどんどん変わっていく。

観ているこちらまで惹き込むような美しさが内面から溢れます。

実生活で2歳から習っているというクラシックバレエを披露しますが

この美しさはあまりに自然で、圧倒的。思わず息を飲みます。

父親とのデートシーン、オーディションなど

写真に撮りたくなるようなシーンが続きます。

そしてすばらしいのが音楽。

生まれて初めて聴くようなメロディは岩井俊二の作曲だそうです。

もうこの人はどこまで大きくなっていくんでしょうか。恐ろしい。

どのシーンでも大抵音楽が流れています。とても自然に。

ラストシーンのハイライト、エンドロールあたりでは

気づかないうちに涙が流れてきて、震えが止まりませんでした。

春に、毎年観たくなるような名作を、岩井俊二がまた創りました。

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